北アルプス;槍・穂高縦走


槍・穂高縦走 part10
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上高地―槍―穂高縦走(10)






写真:遥か岳沢を望む
写真:晴れた日の前穂、左は北尾根の岩峰
写真:重太郎新道(一服のテラス、左右の道程は、ほぼ絶壁)


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上高地―槍―穂高縦走(10)

重太郎新道−岳沢−上高地へ・・、
さて、この地は前穂に直登する道と前穂を巻いて岳沢に到るルートの分岐でもある。
生憎だが、その前穂は完全にガス雲の中で、その姿はスッポリ隠してしまっている。 
数人のパーテーが休息していて頂上までの所要時間を問うと、概ね1時間程度とのことであった。
小生はすっかり疲れきっていたが、相棒にそれとなく聞いてみたら、やはり「そうすっかりバテバテだし、あれじゃーな・・」と指を指して言う。

小服した後、「紀美子平」から前穂のピークを巻いてガレ場を進む。
眼下に箱庭のような上高地が展望され、蛇行する梓川沿いに赤い屋根の旅館が点々とある。やがて絶壁の急下降が始まる、岳沢への下り始めは長いクサリから梯子がある岩稜へと続くので緊張がぬけない。

これが重太郎新道と言われるコースでこれがまた実に凄まじい、下ると言うよりは転げ落ちると言った方が正解の急坂でである。
ここでは事故も例年発生しているらしい、特に、2キロちょっとの道程で一気に800mも降下すると聞く、「アルプス三大急登」の1つとも言われる。 

因みに他のアルプス急坂は、中房温泉から燕岳の合戦尾根、信濃大町から烏帽子岳のぶな立尾根と言われるが、岩稜の急登、急降下はこちらがダントツではなかろうか・・?、 突かれきった身体の下りには要注意でクレグレも慎重を期す。

岳沢のパノラマ、西穂の険しい岩の峰々が圧巻であり、慰めでもある。
疲れきった身体に鞭打って、必死になって下降する。 
雷鳥広場、カモシカの立場を過ぎてしばらく行くと、涸れた沢を横切るとヨウヨウにして「岳沢ヒュッテ」に着いた。

小屋は尾根の突端の大地の上、ダケカンバに囲まれて在り、谷側にはガッシリした石垣が施してある。
奥穂−前穂コースでの、唯一の小屋なので登山者の憩の場としてもありがたい位置にあり、登行者に言わせれば最後の水場でもあろう。
引き水で顔を洗わせてもらい、小屋のテラスで大休止をする。
穂高の岩場をやり過ごした安堵感はあるが、余りにも疲労困憊で実感としては今一湧いてこない。
しかし、まだ終わったわけではない、急坂の沢伝いを上高地に向かって、ここから更に2時間の長道中が控えているのである、気を抜けない。
上高地の曲がりくねった梓川、赤い屋根のホテルが遠望でき、すぐそこに間の沢や西穂の豪快な沢が良く見通せる・・。

【追記】 
岳沢ヒュッテは標高2170メートルのところ、尾根筋の傾斜地にあり、石組みで台地を造って設えた山小屋である。(涸沢は標高2309m)

2005から06年の冬季、この年は雪が異常に多く、大規模な表層雪崩が発生、その影響で小屋が全損壊してしまい、今のところ復旧のめどは立っていないといわれる。

同ヒュッテは50年余の歴史があるものの、これほどひどい雪害を受けたのは初めてという。表層雪崩は大量の新雪が降った際に起こりやすく、橋を流すなどの破壊力があるという。従って2006年度は前面営業休止、 2007年度も営業も休止する旨の告知あったが、ただし7月20日頃〜10月上旬頃に簡易売店のみの営業はするとのこと。

2008年も同様にウェブサイト上にて営業休止の告知、さらに2007年に開設された簡易売店・水場の営業も、2008年度は行われなかった。 
そして2008年12月には再建を断念し廃業する旨が報じられた。

だが、嬉しいことに2009年4月に槍ヶ岳山荘などを経営する会社、槍ヶ岳観光が小屋を再建することを発表。 2010年のシーズンから営業を再開する予定とのことである。

次回、最終回       槍・穂11

        


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