北アルプス;槍・穂高縦走


槍・穂高縦走 part11(完)
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上高地―槍―穂高縦走(11・End)


在りし日の「岳沢ヒュッテ」


雪崩が襲ったヒュッテ跡


写真:上高地から岳沢、穂高への道標


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上高地―槍―穂高縦走(11)

岳沢のキャンプ場から岳沢の対岸左を下るようになる。
岳沢はすぐ上部に雪渓が有るにもかかわらずゴロゴロの石ばかりで水は流れていない。 
河原の石の上を跳ねるように行く、かなり脚部に負担がかかりそうだ。
河原は、相変わらずの石礫の道が延々と続き、次第の森林帯になる。 今までドス黒い岩の稜ばかりだったので、やけに緑の森林が懐かしい、高度が下がっていることが判る。

この頃から次第に脚部の関節が熱を帯びてきた、特に効き足反対の左脚が怪しくなってきた。 急な降りは全身がバウンドしながら片足に負担が掛かるのだ・・!。

時おり倒木に邪魔されながらも樹林帯を行くようになる。 
沢水の音も賑やかになり、水量も次第に増えてくるのが判る。 
しかし、天下の岳沢にしては、やはり水量は少ない、幅広いゴロ石だらけの沢なので、殆どが伏流水となって流れているのだろう・・?。
脇の小さな沢、湧き水で喉を潤す、ホッとする一時である。

道中、チットも軽くなっていないザックが肩に食い込む、下り特有のもので時々位置をずらしながらやわらげるが・・。
それにしても稜線上では感じなかった暑さが感じるようになった、やはり下界へ近づいているのが判る、背中は勿論全身に汗が滲んでいる。
それでも気にせず、前進又前進・・!!。

この頃からヤンヌルカナ左脚部間接が「笑い出した」(筋肉を使いすぎてガクガクしちゃってる状態)、その後、痛み出した・・ヤバイ・・!。
小生、左足が右足に比べて弱いのはある程度承知はしていたし、従って、出来るだけ庇うように歩を進めたのであるが、遂に予期せぬものがきてしまったようだ。 
この後も、出来るだけ庇いながら歩かなくてはならない、当然その分遅れがちになるが・・ンン・・!。

巨大な原生林の鬱蒼とした茂みに、上空をすっかり閉ざしている。
林の中に巨石が所々に現れだした、その間を選びながら、この頃になってやっと道らしい道になり、斜度も少なくなってきて歩きやすい。
痛み足をかかえる者にとっては、実にホッとする。

さらに進むと良く整備された道に出る。
道標があってこの道はどうやら自然探勝路の一辺らしい。 
間もなく立派な道標があって左は明神、右手が河童橋とあった。

そして、われ等が今降りてきた方角へは「岳沢ヒュッテ、前穂高」とあった、妙に懐かしい。
無論、我らは河童橋方面である。
湿原の自然探勝路、池塘(高層湿原の池)には木道も施してあり、岳沢口に近い湿原の木道から仰ぐと、六百山(2450)の岩場がよく見える。

間もなくして「河童橋」へ到着した。
勿論、「お疲れさんでした・・!!」と二人でガッチリ握手、実感のこもった、真実の「お疲れさん」である。
それにしてもここ河童橋周辺は大都会なみの、ものすごい人混みである。
時折、観光客が我等の胡散臭い(本当に全身汗だくで臭いはずである)姿を、ジロリと見据える。 

思えば今日は土曜日であった、実は曜日などはすっかり忘れていた。 数日間は、日常の習慣の離脱でもあったのだ。
今日一日上高地でゆっくり身体を休めて、明日東京へ戻ることにお互い合意した。
案内所らしいところで「西糸屋」という山荘を紹介してもたった。 

西糸屋は山岳愛好家に人気のある山荘旅館らしい。 


現在の「西糸屋山荘」


数日間の過酷なアルバイトの汗と垢をすっかり洗い落とし、梓川の清流の見える和室のテーブルを囲み、さっぱりした浴衣姿で冷たいビールを乾杯した。
ビールの味は、この世にこれほど旨みのある飲み物が有ったのか・・!!、と思うほどの喉越しで、五臓六腑にしみわたったのは言うまでもない。

     『終』

        


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